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ネパリ・バザーロはフェアトレードを通じてネパールの方々と
関係を築き、ネパールが内戦で混乱した時期も危害を加えられ
ることなく活動を続けてきました。ところが、2016年7月に
ダッカで起きたテロでは、国際貢献のため滞在していた日本人
が、最初からターゲットにされていたと思われる状況で殺害さ
れました。平和憲法をもつ国の民として平和的手段で国際貢献
をしている人間も、いつの間にか戦える国の民となり、攻撃を
受けるようになってしまったのか。自衛隊が武力行使できるこ
とに、あっという間に決まってしまいました。福島原発事故や
沖縄のオスプレイ事故への対応を見ても国民が守られていると

ベルダレルネーヨサポーター交流会   2016.12.18

は思えません。日本に暮らす私たちはどういう立場にあり、ど
こに向かおうとしているのか、憲法改正の視点から考えてみる
ことにしました。まずは「憲法九条 初めの一歩」と題し、九
条かながわの会事務局長 後藤仁敏さんをお招きし、憲法制定
からこれまでの流れ、九条の会の活動内容、日本国憲法と自民
党改憲草案との比較など基本的なお話をしていただきました。
そのあとは、参加者が6人ほどのグループに分かれ、率直な感
想や疑問を自由に出し合い、その内容について後藤さんからご
意見をいただきました。参加者からの声と後藤さんから頂いた
コメントを抜粋してご紹介します。

報告:魚谷早苗

NPO法人ベルダレルネーヨとネパリ・バザーロは、いつも協力いただき、ともに活動をしている方々
と毎年末に交流会を開いています。今回は12月18日にあーすぷらざ(本郷台)で開催しました。
サポート会員、お店の方、ツアーの常連の方、高校や大学の学生たちなど総勢27人が集いました。

今回のメインテーマは「フェアトレードと憲法」

●改憲は誰にとってメリットがあるのだろう?

― 日本は自動車輸出で栄えたが、平和国家として信用されたと
いう9条の経済効果もあった。しかし、一番儲かるのは軍需産業。
アメリカは武器を世界に売って儲け、軍需産業と国家権力が結び
ついている。日本でも武器三原則が撤廃されれば、企業が儲かる。

●憲法13条で「個人」が「人」に変わると何が違うのか?

― 「ひとりひとり」という意味合いがなくなる。「個人」を尊重
したのが日本国憲法。「人」は「ホモサピエンス」のひとからげの
扱い。個人よりも国家が大切だと考えていることが「あたらしい
憲法草案のはなし(自民党の憲法改正草案を爆発的にひろめる有
志連合・著、太郎次郎社エディタス)」を読むとよくわかる。ぜひ
読んでみてほしい。

●選挙に行っても変わらないし、自分たちに何ができるのだろう?

― 投票は効果がある。投票率の高かった選挙では時代が変わっ
た。これまで投票所に行かなかった人が自民党ではだめだと投票
をしたら政権が変わった。次の選挙では、政治に絶望してまた投
票に行かなかったことで、自民党は票数を減らしたのに当選者を
増やした。投票率が上がれば、社会は変わる。行っても変わらな
いと思うかもしれないが、行かないと変わらない。

●学校の授業で憲法や現代史がほとんど扱われず、考える力が育
たない。

― 本当にそう。明治時代で授業が終わってしまう。日本の歴史
を学んで、考えて、行動することが大事。それこそ個人主義。日
本ではひとつしかない正しい答えを暗記する教育。いろんな答え
があっていい。教える側は大変だが、一人一人の意見を出させる
教育が必要。考えない人を育てる教育は統治者には都合が良い。
特に戦争前には。

●政治のことをもっと勉強したいけれど、友達と話すと引かれそ
うで、話し辛い。

― 人と話すときは、これが正しい!正義だ!ではダメ。囁くよ
うに、優しく、話し掛けることが大事。勇気を持って話してみれば、
心配している人、同じ思いの人は沢山いる。

●テレビで取り上げられなさすぎる。

― 国民に事実を伝えなかったという報道機関の戦後の反省が、
政治の影響で変えられつつあるが、良い番組もある。良い番組や
記事があったら、放送局や新聞社に感想を送ると製作者にはとて
も励みになる。悪い番組には悪いということも大切。

●アメリカが日本を保護してくれたから平和でいられたともいわ
れるが?

― アメリカが日本を守るとはどこにも書かれていない。アメリ
カは、アメリカを守るために日本に基地を置いている。米軍機は
アメリカ軍住宅の上は通らず、日本人住宅の上を通過する。

○肩肘張らずにファッションや好きな人の話をするノリで話して
いきたい。
○来年は選挙に行ける齢になるので、自分の意見を持って投票し
たい。
○戦争で本当に怖い思いをした自分と同世代に改憲に抵抗がない
人がいて驚く。子どもたちに申し訳ない。
○皆と同じ意見に流れるのではなく、自分の意見を言えることが
魅力的になる文化になってほしい。

私たちも初めてのテーマ、初めての試みでしたので、参加者の
皆さんがどんな話をしてくださるのかドキドキしながらの開催
でしたが、時間が足りなくなるほど話が尽きず、貴重な場とな

りました。参加いただ
いた皆様、ありがとう
ございました。

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